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 国・地方選挙投票を義務化せよ

●昨今の投票率
 平成25年の参議院選挙が終わった。
 投票結果はさておき、今回の投票率は52.6%。戦後3番目という低さであった。ちなみに昨年12月に行われた衆議院選挙も、投票率は59%と衆院選で戦後最低である。
 今回の選挙および昨年の衆院選は、民主党政権による国益を害する政策のせいで大きなダメージを負わされた日本が復活するための選挙。二度と民主党に政権を渡さない。そして信頼できる政党へ日本の国運を託す、そんな選挙だったはずだ。にもかかわらず半数近くの有権者が投票に行かなかった。国民の政治に対する無関心は、危険度を増していると言える。

●有権者が選挙へ行かない理由
 日本で普通選挙が実施されたのは戦後の昭和20年。昭和21年に実施された初回衆院選では投票率は72%を超えていた。しかし、平成に入ってから投票率は低迷。今は60%前後を推移しており、平成7年の参院選では44%まで投票率が落ち込んでいた。


 有権者が選挙に行かない理由について、選挙管理委員会などの機関が調査した結果、多かったのは以下の理由。
 「自分が投票しても、当選者は変わらないと思ったから」
 「誰が当選しても、政治や生活が変わらないと思ったから」
 「仕事以外の用事で)投票に行く時間がなかった」

 また年代別には20代30代では「(仕事で)投票に行く時間がなかったから」、80代などの高齢者では「病気などの身体の都合で行けなかったから」という理由が挙げられた。
 総合的に見て、有権者にとって投票は、自己の予定を曲げてまで行うものではない、と捉えられているのだ。

●国政への提言−国政選挙への投票義務化の実施と、有権者に対する投票環境の改善
 以上のことを踏まえて、投票率の低下に対する根本政策として、以下のことを提言する。

 ◆投票の義務化
 日本の選挙制度は任意投票制だが、世界には義務投票制として法律で義務化している国もある。
 例えばオーストラリアでは18歳以上になると選挙人名簿に登録され、投票を怠ると罰金刑(20オーストラリアドル以下)を受ける。そのため、オーストラリアの選挙での投票率は90%を超えている。
 他にもシンガポールやウルグアイ、ブラジルなど、投票を義務化している国は多く、それらの国も選挙投票率は非常に高い。

参考:投票義務化の国の投票率
国名 投票率
シンガポール 93%
オーストラリア 93%
ベルギー 90%
ウルグアイ 90%
ブラジル 92%

 


 



 投票義務化のメリットとしては、投票率の向上により、組織票より一般国民の票の方が選挙結果に強い影響を与えるようになることが挙げられる。組織票を持つ国内の既得権益団体(土建屋、農家、医師会、宗教団体等)の利権によって国政がないがしろにされているのが日本の現状だが、投票を義務化することでこうした団体の影響力を低下させることができる。
 また、これまで投票に行かなかった人達も強制とはいえ政治に参加することになるので、おのずと選挙結果や、その後の政治にも関心が強くなり、国民の政治レベルが上昇する。
 これらにより、候補者は組織票を頼りにした選挙がしづらくなり、公明党や共産党など特定団体の支持しか受けられない候補者は壊滅する。当選した議員も、いい加減な政治政策を行えば即国民から反発が来るので、国益を考えた政治を取るようにならざるを得ない。
 このように、投票義務化を導入することにより、日本が政治的停滞から抜け出し、民意の反映される国家となるのだ。今の特定団体優遇の日本の政治を、将来の担い手である若者の手に取り戻すことこそ、日本の国益にかなう政策であると考えている。

 また、投票制度の改善・投票意識の向上として、以下のことを提言する。

 ◆投票用紙のマークシート制導入(誤記入や似た名前の候補者に入れるというミスも無くなる)

 ◆携帯やパソコンからのネット投票の実施

 ◆ポイント制度の導入(ネットから投票した場合、一定のポイントが付与される(T−ポイントなどへの変換ができる)

 ◆マイナス投票制度(入れたい候補者がいない場合、逆に当選させたくない政党や候補者へのマイナス投票を認める)

 ◆高校・大学で選挙制度に関する授業を行い、選挙制度および投票の意義を理解させる。

 ◆出張投票所(肢体不自由者や要介護者に対し、選挙担当者が自宅に出向いて投票用紙の回収を行う)

 ◆10代〜20代の投票事務体験(体験を通して若者に選挙に関心を持ってもらう)


 
●有権者への意見

 最後に、選挙権を有しているにも関わらず投票に行かない人へ。

 ◆選挙に行く意味がない、自分には関係ない、政治は分からない、という人へ
 政治家にとって選挙の票集めは大きな仕事です。そのため、投票してくれる国民の要望を政策に掲げます。
 投票率が低下すると全体の投票数が下がり、組織票だけで当落が決まってしまいます。それが何を意味するのかと言うと、組織票を持つ団体に都合が良く、一般国民に目線がいかない政治が行われることになるのです。
 たとえば、なぜ宗教法人には税金がかからないのでしょう? それは、宗教法人の組織票で当選した議員がいて、宗教法人に税金がかからないよう動いているからです。電力業界の新規参入が難しいのも、その業界の組織票で当選した議員が新規参入しにくいよう規制をかけているからです。特定団体職員の給与待遇が良いのも同じ理由です。
 また国民に対する政策も、投票率の高い年代が優先されがちになります。
 日本は若者の投票率が低く、老人層の投票率が高いです。

国名 投票率
20代 37.8%
30代 50.1%
40代 59.3%
50代 68.0%
60代 79.4%
70代 63.3%









 上の図を見ると、20代の投票率は37%に対し、60代や70代の投票率は60%〜70%もあります。
 こうなると政治家も若い世代より60代・70代への政策を掲げるようになります。
 若い世代の投票率が上がることで、若い世代の為の政策も行われるのです。
 政治が分からない、と逃げていては、自分の首を絞めることになるのです。

 ◆棄権も意思表示の一つだ、とする人へ
 棄権をすることも意思表示だと言う人は、自分の行動が組織票を助けている事実を理解しないといけません。
 もし棄権した人が投票していれば、あるいは結果が変わったかもしれません。
 自分の1票程度では結果は変わらないという方は、以下の資料を見てください。選挙で数百票差や数十票で当落が決まった例は意外と多いのです。

参考:平成24年衆院選で次点との票差の少なかった事例
 大島敦 (民主・埼玉6区)198票
 中谷真一(自民・山梨3区)172票
 泉健太 (民主・京都3区)216票

参考2:平成23年大阪市議選で次点との票差が少なかった例
 武田和 (民主)37票
 岡井勤 (共産)72票
 高岡武汪(自民)35票

 ◆自分が入れたいと思う候補者がいない、という人へ
 候補者一覧を見ても入れたくなる候補者がいない場合も、投票に行かないと、貴方の意見が反映されることは一生ありません。
 ですから、少しでも考えに近い候補者、もしくは政党に票を投じましょう。そもそも政治の対応について全てが自分の意見と一致することなどありえません。
 それでも票を投じたい候補者・政党がいない場合は、逆に一番嫌いな候補者以外に投票するという考え方はどうでしょう。

 あなたが選挙で投票をしなければあなたは存在しないのと同じです。あなたが政治に無関心となり投票しないままであれば、ますます政治と社会はあなたを疎外してしまいます。
 もしあなたが今よりも住み心地のいい社会を望むなら、自分の意見を一票に託してください。
 選挙権は単なる権利ではありません。自らの生活を守るための社会人としての義務なのです。



参考:投票の義務化を行っている国と罰則の内容(平成25年7月時点)wikipediaより 
国名 罰則の内容
ウルグアイ 罰金・権利の一部制限。
キプロス 罰金(500キプロス・ポンド以下)・入獄。
オーストラリア 罰金(原則20豪ドルだが、裁判所で争うと50豪ドル以下)。
シンガポール 選挙人名簿からの抹消。棄権がやむを得ないものであったことを明示するか、5シンガポール・ドルを支払えば、選挙人名簿再登録可能。
スイス シャフハウゼン州のみ。罰金(3スイス・フラン)。
ナウル 罰金。
フィジー 罰金・入獄。
ベルギー 罰金(初回は5-10ユーロ。二回目以降は10-25ユーロ。)・選挙権制限(15年間に4回以上棄権の場合は、10年間選挙資格停止)。
ルクセンブルク 罰金(99-991ユーロ。初回棄権から6年以内に再度棄権すると、更に重い罰金刑)。71歳以上と投票日に海外にいる者の投票は任意。
アルゼンチン 罰金(10-20ペソ)・権利の一部制限(3年間公職就任・在職禁止)。
エクアドル 罰金・権利の一部制限。識字能力のない者及び66歳以上の投票は任意。
エジプト 罰金(20エジプト・ポンド)。女性の投票は任意。
ギリシャ 入獄(1ヶ月以下)。71歳以上・病弱者・投票所から200km以上離れている者の投票は任意。
ガボン 罰金。
トルコ 罰金。
パナマ 罰金。
パラグアイ 罰金。
ブラジル 罰金。識字能力のない者及び71歳以上の者の投票は任意。
ペルー 罰金(20ソル)・公共サービスの一部制限。71歳以上の投票は任意。
ボリビア 権利の一部制限(選挙後3ヶ月間は、投票済証を持参しないと、銀行に振り込まれた給与を引き出せない)。
モンゴル 不明
リヒテンシュタイン 罰金(20スイス・フラン以下)。
タイ 次回選挙の選挙権剥奪。
イタリア 罰則なし
グアテマラ
コスタリカ
ドミニカ共和国
フィリピン
ホンジュラス
メキシコ

参考文献
「■0065 納税者(15歳以上)の国政・地方選挙投票義務化を!」(東郷秀憲の国益コラム)
「参院選投票率は52・61%、過去3番目の低さ 総務省」(平成25年7月22日 産経新聞)
「明るい選挙推進協会」
「朝日新聞 衆院選特集ページ」
「読売新聞大阪市議選開票結果」
「投票率向上のための調査報告書」(埼玉県選挙管理委員会)
「ウィキペディア」
その他、新聞記事

 
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